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Statement

《「抽象直接行動198の方法(仮)」から多数の実施》Many Practice from “198 Methods of Abstract Direct Action (tentative) / Satoshi Hashimoto

May 29, 2016 / Action

「抽象直接行動198の方法(仮)」から多数の実施
日時:2016年5月29日(日) 13:00 – 18:00
場所:東京都現代美術館『MOTアニュアル2016 キセイノセイキ』

Many Practice from “198 Methods of Abstract Direct Action (tentative)
Inside and outside of Museum of Contemporary Art Tokyo
2016.5.29, 13:00 – 18:00

一昨日やっと《「抽象直接行動198の方法(仮)」から多数の実施》の許可がおり、昨日告知が開始されました。しかしながら、それは実施許可がまったくおりない続きの中、多くのプランを不当に潰された成れの果てでもあります。

『MOTアニュアル キセイノセイキ』での私の取組みは、展覧会ディレクター4人との話し合いの末、私が作成した『抽象直接行動198の方法(仮)』から展示と展示以外のアクションを多数実施するという内容でした。会期中に展示室内外にて週2つ以上のアクションをおこなう構成です。美術館公式HPの私の紹介覧にも「本展では、展覧会場内外での展示に加え、多数のパフォーマンスを発表します」と掲げられています。ですので、展示に加え、それらのアクションを頻繁に実施することが取組みの半分になります。しかしながら、会期はじめに実施されたたった2つ以外は館側から何も許可されずに3ヶ月の会期の終了1週間前迄に至っていました( 私は勝手にできることを美術館内外、会期内外の中でその場繋ぎでやり続けました。http://xxxmot.artists-guild.net/tag/satoshi-hashimoto/ )。館側が不当にプランを拒み、潰す過程は大変酷いものです。それは展覧会全般においても展開されています。このことを「規制」やら「自主規制(検閲)」などと言うお立場や方便があるようですが、多くは「検閲」です。 

途方もなく長い交渉の末にやっと許可されたのは会期最終日の「多数の実施」のみです。それも開催まで6日しかないという準備が危機的な日になって。それ以外は全て潰されたわけですが、「多数の実施」をなすアクションも酷い有り様で多くが潰されております。例えば、危険性や著作権などを掲げて拒むのはまだ理由や建前が用意されていますが、来場者にインタビューをする《展覧会》や《その場で批評会》、《その場で記述》(全て2012年に東京国立近代美術館で実施)などのリアルタイムの言説が組み込まれたプランに対しては、理由もなく、ただ許可が出せないということでした。あまりにあからさまな言論統制です。展覧会の場でご都合の悪い批判がでてくることよりも、それを封じ込めることの方が、その組織にとっても、そのお役職においても致命的であることを考え至らないのでしょうか。声を封じ込めることは、ご成功に終わることばかりなのでしょう。しかしながら、許可を人質にとってのご検閲は大胆になり過ぎです。ネット上での言説がチェックされ、あなた方に報告されるのは知っています。この文面もチェクされることでしょう。だとしても、たとえあなた方に情報が届いたとしても声が届くことは期待していません。

ほかにもプランは酷い有り様で潰され、許可が出されたものも不本意な状況にされ、29日の内容はある面でぼろぼろです。しかしながら、その彼らが空けたぼろぼろの多くの穴の痕跡が垣間見られる時、かえって墓穴を掘るように大きな穴が空くのでないでしょうか。眼という風穴から涙が流れることを禁ずることも、性器という風穴から小便や性交を禁ずることもできません。ましてや、口から声を禁ずることはできない。性器を執拗に隠したがる精神は、いつしか誰それの口を閉ざしたがり、眼から涙が流れることもなくなる。笑顔は愛想笑いと化す。耳も閉ざされ、声は届かなくなることでしょう。

生身の人間を美術館からはじくことはできません。職員もアーティストも来場者もみながいろいろと、性器や目も口や耳も所持してその場にやってきます。

2016年5月25日 橋本聡

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